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大阪地方裁判所 昭和43年(ワ)668号 判決 1969年4月02日

主文

原告の請求を棄却する。

訴訟費用は原告の負担とする。

事実

原告訴訟代理人は、被告は原告に対し金一一四万九、五〇〇円およびこれに対する昭和四〇年八月一六日から支払いずみまで年六分の割合による金員を支払え。訴訟費用は被告の負担とする。との判決および仮執行の宣言を求め、その請求原因として、原告は昭和三九年二月二六日被告との間に、左の内容の金銭消費貸借契約ならびに譲渡担保契約を締結した。

(一)  被告は原告に対し、金二〇〇万円を貸与する。

(二)  弁済期は同年七月三一日、遅延損害金は日歩金五銭とする。

(三)  別紙物件目録記載の物件(以下本件物件という)を譲渡担保として、被告に所有権を移転し、原告が被告のため代理占有する。

(四)  原告が債務の履行を遅滞したときは、被告は本件物件を処分し、処分代金から処分の費用を控除して、債務の弁済に充当することができる。

(五)  右充当後、剰余金があつたときはその金額を原告に支払う。

しかして原告は右弁済期を徒過するも、右貸金の内金一〇五万円を支払つたのみであつたので、被告は原告から本件物件の引渡しを受け、昭和四〇年八月一五日にこれを金二四〇万円で換価処分した。

したがつて被告は前記約定にもとづき、処分費用金一二万円、未払債権額金九五万円、右換価処分の日までの遅延損害金一八万〇、五〇〇円を控除した残金一一四万九、五〇〇円を、原告に対して返還する債務を負担するにいたつた。

よつて原告は被告に対し、金一一四万九、五〇〇円およびこれに対する換価処分の日の翌日である昭和四〇年八月一六日から支払いずみまで商法所定の年六分の割合による遅延損害金の支払いを求めると述べ、被告の抗弁に対して、被告がその主張のころ、その主張のような方法で、別紙目録記載の手形債権(以下本件手形債権という)を自働債権とし、右剰余金返還債務を受働債権として、相殺の意思表示をなしたことは認めるが、原告は昭和四〇年七月七日大阪地方裁判所において、会社整理開始決定を受けており、被告が原告に対して負担するにいたつた剰余金返還債務は、被告において本件物件を換価処分した昭和四〇年八月一五日に生じたものであるから、商法四〇三条一項、破産法一〇四条一号により、被告のなした相殺の意思表示はその効力を有しないと述べた。

(立証省略)

被告訴訟代理人は主文同旨の判決を求め、答弁として、原告主張の請求原因事実ならびに被告の抗弁に対する原告主張事実中の、原告が昭和四〇年七月七日に大阪地方裁判所において、会社整理開始決定を受けたことはこれを認める。

しかしながら被告は昭和四〇年八月一六日頃、原告に対して有する本件手形債権を自働債権とし、原告主張の剰余金返還債務を受働債権として、本件手形債権のうち一の手形についてはこれを原告に交付し、二の手形についてはこれを原告に呈示して、相殺の意思を表示したので、これによつて右返還債務は消滅するにいたつたと述べた。

(立証省略)

別紙

物件目録

高田式カーペット二重織機(巾九尺織)

附帯工具、器具一式を含む   一台

手形目録

一、約束手形債権

大阪地方裁判所岸和田支部昭和四〇年(手ワ)第七号約束手形金請求事件の確定判決にもとづくもの

金七四万〇、八〇一円 手形元本

金 二万三、四〇〇円 昭和四〇年三月五日から昭和四〇年八月一五日までの年六分の割合による法定利息

計金七六万四、二〇一円

二、約束手形債権

金額      五四万五、〇〇〇円

満期      昭和三九年一一月三〇日

振出地     岸和田市

支払地     和泉市

支払場所    株式会社住友銀行和泉支店

振出日     昭和三九年八月三一日

振出人     原告

受取人兼裏書人 泉州織物株式会社

被裏書人    被告

右手形金の一部金三九万八、三一三円

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